私の祖母は、このままいけば空き家になること間違いなしな物件を所有しています。
空き家になれば放置はできないので売却したいけどそもそも売却できるのだろうか、なんて考えたらちょっと不安です。
しかし、家は大切な資産です。
リノベーションをすれば資産としての価値が高まる可能性だって秘めているんです。
過去にリノベーションされた世界の有名建築には、ルーブル美術館、ドミニカネン書店、ハッケシェ・ヘーフェなどがあります。
実はこれらの有名建築はリノベーションの魅力に溢れているんです。
あなたがお家の問題に直面したとき、魔法のようなリノベーションは役に立つこと間違いなしですよ♪
有名建築から住居まで、共通するリノベーションのメリットを心得ておけば、住宅を選ぶとき、手放すとき、不便が生じたときに選択肢が広がります。
目次
リノベーションで魅力が倍増した世界の有名な建築
過去にリノベーションされた世界の有名建築には、ルーブル美術館、ドミニカネン書店、ハッケシェ・ヘーフェなどがあります。
欧州では古い建物に対するリスペクトが強いため、昔からリノベーションは当たり前の慣習でした。
世界の有名なリノベーション建築は、歴史が長いだけではなく、デザインが優れているだけでもなく、実用性も兼ね備えています。
例えば誰もが知る、ルーブル美術館は言わずと知れた芸術の殿堂です。
- ルーブル美術館
世界一有名な美術館として名を馳せるルーブル美術館。
フランス・パリの観光地として、芸術の殿堂として世界中の人々に訪問されています。
もとはといえば、軍事での目的で建設された要塞でした。
その役目を終えたあとは美術品の収蔵と展示の会場となり、何度か改修されたのち正式な美術館となっています。
- ドミニカネン書店
2008年に世界で最も美しい書店の1つに選ばれたドミニカネン書店。
風車で有名なオランダの旧市街に構えているその書店はもともと教会でした。
外観は教会のままなので一見すると書店だとわからず、石材でできた古い建物ならではの厳然な空気を放っています。
13世紀に建てられた教会は、数百年という歩みの中で倉庫や音楽ホールとしても利用されていて、現代で書店に落ち着きました。
- ハッケシェ・ヘーフェ
ドイツにあるハッケシェ・ヘーフェはもとはといえば集合住宅でしたが、現在ではカフェやレストランを備える複合施設になりました。
住宅だった頃から人々の利用は絶えず、ベルリンの壁が崩壊した後では家賃の安さ目当てで若者やアーティストが周辺に移り住みました。
土地の営みの中心である建物の大規模な改修は、あくまで設立当初のデザインや佇まいを活かす形で行われています。
活かされた“8つの中庭”は今ではそれぞれ違ったデザインが施されており、ハッケシェ・ヘーフェの魅力となっています。
これらから見て取れるように欧州の人々は建物を思い通りに動かしたり無くしたりするのではなく、時代に合わせて用途を変えていきます。
新しくて便利であることよりも、建築そのものの趣や歴史を大事にする。
そんな、芸術に敏感で貪欲な国民性だからこそリノベーション建築を維持できるのかもしれません。
昨今、中古物件を自分の思い通りの間取りやデザインにリノベーションし、住居にするなり店を構えるなりが選択肢として挙がるようになってきた日本。
もちろん、地震の多い国であったり、石造ではなく木造が主流であることもリノベーションが定着しづらかった原因だと思います。
ですが、「家を買うなら新築」という常識が日本にはあります。
私は子供のとき、新築に引っ越したと友達に話したら羨ましがられました。
そのように、新しい住居が自慢になる日本の感性では、リノベーションは定着しづらかったのかもしれませんね。
DIYが流行りだして、やっとリノベーション文化がスタートを切った印象を受けますが、国内で大規模なリノベーション建築というと何を思い浮かべるでしょうか?
リノベーション事例を用いて日本の有名なサービスをご紹介
日本には、アーツ前橋、守口市立図書館、東京おもちゃ美術館、吉本興業株式会社東京本部などのリノベーション事例があり、地元では有名で親しまれています。
欧州に比べれば最近になってリノベーション文化をスタートした日本。
生まれたばかりではありますが、日本のリノベーション建築も実用的ですし、凝ったデザインを施されたものもあります。
有名建築ほどの歴史はないにしろ、地域への貢献度は劣ってはいないのではないでしょうか。
- アーツ前橋
群馬県前橋市にあった百貨店はリノベーションされ、美術館になりました。
ジャンルは美術館ですが、幅広い芸術文化がシームレスに行き交う交流と融合の場所です。
前橋市は県庁所在地であるためそこに位置する公共施設の空洞化は県のイメージを損ないかねません。
駅に近くそもそもが立派な建築物なので、市を代表するような役割を担わせることができました。
- 守口市立図書館
2020年に市内初の図書館がオープンしました。
バブル期に建てられた複合文化施設をリノベーションし、それまでの情報センターとしての機能は残しつつ、市民交流を促すという役割が新たに与えられました。
リノベーションにより生まれ変わったモダンで洗練された内装は、心地よい滞在を叶えると同時に、思考を活性化させる刺激を感じる空間です。
すでに地元では有名な滞在型図書館です。
- 東京おもちゃ美術館
東京おもちゃ美術館は、小学校の校舎で運営されている、その名の通りおもちゃの美術館です。
おもちゃ美術館は現在の住所に移転する以前も、閉鎖された校舎で運営されており、既存の建物にあとからサービスを内蔵させた事例です。
新宿という繁華街で感じられる古びた木造のぬくもりは地元住民の憩いの場として親しまれています。
一度は閉館したものの、廃校になった小学校を取り壊さないでほしいという地元住民の願いを叶える形で復活した経緯があります。
- 吉本興業株式会社 東京本部
日本のお笑いといえば吉本興業、と表されるほど全国で名高い興行会社です。
そんな吉本興業の東京本社は小学校をリノベーションしてできています。
会社でありながら設備のほとんどは、かつての学校の姿そのままが残されていて、部屋や廊下は広くて高く解放的です。
小学校はその多くがRC造、つまり主要構造を鉄筋コンクリートで造られているので、頑丈で耐火性・耐震性に優れています。
地震の多い東京で耐震性の高さは必須で、なおかつ社員数は900人にも及ぶので小学校という建築の持つ容量と特徴は吉本興業のニーズに合致していました。
以上が日本のリノベーション建築です。
事例に登場した公共施設、いわゆる“ハコモノ”は各地に発生しており、それが昨今のリノベーションの流行につながっています。
ハコモノを活用し、地域の活性化ができれば、きっと日本にも世界に誇れるような有名なリノベーション建築が出てくるかもしれません。
私は14歳のとき新築に住むことができたのですが、できたてのお家に感動したのを覚えています。
傷ひとつなくピッカピカで、ツヤツヤな床に反射した日光が部屋中に広がって明るい。
住まいの居心地は幸福に直結すると知った14歳でした。
そんな思い出があってか、リノベーションというと妥協策のような印象を受けていました。
もしかしたら上述した事例でも、ハコモノが余っているから致し方なく活用した、と映るかもしれません。
ですが、決してそうではなく新築もリノベーション建築もそれぞれの良さがあります。
ケースによってどちらもあなたのとっておきの最高のお買い物になり得ます。
ということで次の章では、リノベーションの良さやベネフィットをご紹介します。
リノベーションするなら有名建築を見習い日本の新旧を制す
リノベーションのメリットの1つは有名建築でもあったように、日本の新旧を混在させ味わい深い空間作りがしやすくなることです。
有名建築はどれも、使い古された素材を活かしつつ、現代のデザインを加えるからこそ、歴史を感じる洗練された建物になっています。
一般的に認識されているリノベーションのメリットはコストメリットかもしれません。
新築で住居を建てるよりも、中古物件を手に入れリノベーションする方が工程が少ないから費用が安くなる。
しかしこれは一概には言えず、経年劣化の具合やリノベーションの規模によっては新築よりも費用がかかってしまうこともあるんです。
基礎部分を再利用するにしても、現在の耐震基準を満たしていなければ補強する必要があります。
しかも、昔に建てられた日本の住居は断熱材を取り入れていないことも多いので、快適な温度の維持や、効率的な空調を促すためにも、断熱の性能を上げることは必須です。
このような手間があるうえ、基礎部分は変えようがないため、改修できる間取りには制限があります。
このようなデメリットを持つリノベーションですが、冒頭で述べたような新築とは甲乙つけがたい魅力があるんです。
実際にあった施工例を交えてメリットをご紹介します。
条件によっては新築を建てるよりも費用が安くなる
アパートの一部をリノベーションし、ピンポイントに利便性とデザイン性を上げて、オーナーである自身もその一室を住居にした事例です。
先ほど、必ずしも費用が安いわけではないとお伝えしましたが、条件によっては新築よりも中古物件のリノベーションの方が安くなることはあります。
事例のように、内装のみ、もしくは一部の改修であればお手頃な価格で理想の間取りを叶えられます。
一部の改修に限った話ではなく、フルリノベーションするにしても、築年数がそこまで経っていなければ大掛かりな補強工事は必要ではありません。
また自治体によってはリノベーションするにあたり助成金を設けています。
もちろん、費用に上限はありますし、リノベーションの目的によっては対象外にもなりますが、対象であれば事前の申請で受け取れるようになっています。
新築はどう足掻いても高い費用がかかってしまいますが、リノベーションの場合、工夫の仕方が多様です。
立地にこだわる場合は更地を探すよりも選択肢が増える
海を一望できる高台にあった空き家を民泊施設にリノベーションし、その土地ならではの景観の良さを、人を呼び込む材料としてうまく活用した事例です。
その土地を楽しむために遠方から訪れた人々もいれば、運営に携わる地元住民の出入りもあり、地域一帯の動きが活発になりました。
きっとそれが叶えられたのは景観と利便性を兼ね備えた立地だったからでしょう。
住居にくつろぎを求めるのは当たり前ですが、長く住むとなれば景観やその土地の雰囲気にも妥協できません。
理想的な立地に出会い、理想的な住居を建てる、というのは算段がついていない場合、困難を極めます。
しかし、リノベーションを前提とした中古物件の購入を視野に入れれば選択肢はグッと増えます。
なぜなら日本は今、空き家問題を抱えているからです。
手放せないが利用することもない、そんな空き家が持て余された状態だからです。
将来の不安として多くの人が抱えている空き家ですが、裏を返せば、リノベーションであれば立地の選択肢は広がるということ。
前章でハコモノのリノベーションについて紹介しましたが、住居のリノベーションにおいても同じで、その背景には空き家問題が絡んでいたようです。
建物そのものへの愛着が世代を超えて受け継がれる
子供達は独立、年取った夫婦にとって、その広さがかえって不便になった我が家をリノベーションして減築した事例です。
不便になったとしても、住み慣れた我が家を手放したり、他の土地に引っ越したりはご年配にとって負担になります。
自分たちのライフスタイルに合わせた形に改修することで、手放さずに利用し続け、時期がくれば子供へと受け継ぐことができます。
馴染みのある場所がずっとそこに存在し続けていればそれだけで安心を覚えますし、自分を構成する一部にもなり得ます。
現代へと受け継がれた世界の有名建築はどれもその国を表していますよね。
同じように、長い時間を過ごした住まいはあなたにとってのアイデンティティになるのかもしれません。
新旧を混在させて唯一無二の住処になる
シンプルで飽きのこないデザインにリノベーションすることで価格が上昇し、古い建物でありながら今だに人気を維持するヴィンテージマンションの事例です。
築年数が経てば比例して価値も下がっていくのが不動産の運命ですが、ヴィンテージマンションと呼ばれる住まいは価格を維持または本来よりも上がっているものさえあります。
それは人気のエリアに建てられているからというほかに、多くの人が惹かれる空間デザインであることも理由としてあげられます。
多くの人が概ね惹かれるデザイン加減というのがヴィンテージマンションの絶えぬ需要につながっているようです。
このような空間で生活できるチャンスが中古物件にはあります。
古びたものと現代のデザインを掛け合わせれば、凝ったことをせずとも最低限の素材で特別な空間をリノベーションによって作れるからです。
有名建築は、補強されるだけではなくモダンなデザインを取り入れているからこそ、現代人にも広く受け入れられるのかもしれません。
また、リノベーションにより資産価値が上がれば手放す際にも苦労しません。
私の祖母が所有するほぼ空き家はまだそこそこきれいなのですが、どういった構造なのか、立地評価はどのくらいなのかなど、現在の資産としての価値が気になってきました。
空き家を厄介者として扱うのではなく人に後世にどのようにお譲りするか、という気持ちになると前向きに考えられますね。
まとめ
公共施設の空き家化は難問ですが、見方によっては革新が生まれる土台がたくさんあるということです。
日本の建築はレベルが高いと言われているので、昔からリノベーションが定着していたならば、世界に誇れるような歴史ある有名なリノベーション建築があったかもしれません。
- ルーブル美術館
- ドミニカネン書店
- ハッケシェ・ヘーフェ
このように、世界の有名なリノベーション建築は時代に合わせて積極的に活用されました。
日本でもリノベーション建築により営まれている地元で有名なサービスがあります。
- アーツ前橋
- 守口市立図書館
- 東京おもちゃ美術館
このようなリノベーション建築はこれから長く受け継がれサービスとともに有名になっていくかもしれません。
リノベーションのメリットは以下になります。
- 新築ではできないコスト削減ができる
- 更地を探すよりも選択肢が増える
- 建物への愛着が受け継がれる
- 新旧が混在され独特の趣を醸す
空き家問題の解決策でありながら、新築以上に魅力的な物件を造り出すかもしれない技術、リノベーション。
私たちはその良さに気づいたばかりですが、その気づきがこれからの日本の風景を変えていくかもしれません。
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